2014年5月19日月曜日

雑記<暮らしの変化>

以前の雑記でも書いたが、私たち夫婦は朝散歩なるものを行っている。

ふたりしてパジャマのような格好のまま、
海辺や集落の裏路地を目的もなくぶらぶらと歩くだけの散歩。

最近はその様子が徐々に変わってきた。
前は赤の他人であったご近所さんたちが、あいさつを重ねるごとに、
私たちを隣人として認識してくれているのを感じる。

先日のこと、朝散歩中に出会ったおばあさんが
私たちが貸してくれる畑を探していることを知ると、多方面へアプローチしてくれた。

また、別の日は仕事を終えて帰宅すると玄関先に野菜がたっぷり入った袋が置かれていた。
あのおばあさんが家庭菜園で育てた野菜をわけてくれたのであった。
なんてありがたい!

早速、私の実家からダンボール一杯に送られてきた玉ねぎを持って尋ねると、
残念ながらおばあさんは不在だった。
そして、そこに居た別の老夫婦と話していると、その場で自宅へ招いてくれたのだった。

明治時代に建てられたという家は、ていねいに片付けられ、
長い間の思い出の品々や、趣味の手作り雑貨が飾られていた。
80歳近いご夫婦だが、コーヒーを豆からひいて出してくれ、
その暮らしのこだわりからは人生の豊かさの物語を感じる。

おじいさんは何度も「友達になったのだから、また遊びに来なさいね」と繰り返す。
帰り際には手土産におばあさんの煮たひじきを持たせてくれた。

後日、畑を探してくれたおばあさんに再び玉ねぎを持って行くと、
玄関には50個はゆうにあるだろうというたくさんの玉ねぎが置かれていた。
“あちゃー”と思いながら夫と目を合わせていると、
おばあさんは「この玉ねぎは買ったものだから!ありがとう!いただくわね」と
ちょっとだけ気まずそうにフォローしつつ、私の手から玉ねぎの袋を受け取ってくれた。

私たちの海辺の小さな町での暮らしは、少しずつあたたかいものに変化している。

新しい友達はおじいさんとおばあさんばかりだけれどね。




2014年5月11日日曜日

ファミレスコンセント vol.2

編集&ライター・やましたよしみがファミリーレストランで仕事中に見た
風景や人間ドラマをお届けするファミレスコンセント。

2014年5月11日(日)・晴れ

いつもの席で私が仕事をしていると、
隣りのテーブルに20代前半くらいの男性3人がやって来た。

内心、“ うわ~うるさくなりそうだなあ ”と思っていたところ、
まさかのその逆。

オーダー時の様子―――
男性1「…ィン…ハ…バ…グ…」(おそらくチーズインハンバーグ)
男性2「…ミ……リル…」(おそらくミックスグリル)
男性3「……キ…」(おそらくバナナパンケーキ)

えええ??? 声小さっ!!!

その後も延々と無言が続く3人。
私がキーボードを叩くカチャカチャという音がやけに大きく感じ、妙に気まずくなってくる。

そして、料理が届いても続く無言。
チラッと彼らの方へ視線を向けるとそれぞれが黙々と食事をしている。

……シーン……。
私の心の声が聞こえてしまいそうなほどに静かだ。
「なんで? どうして? なぜに無言? 会話ないの? 友達同士でしょ? えぇー??」

食べ終わると「行こうか」の声かけもなしに誰からともなく席を立ちレジへ向かう。
なんだか無言の彼らによってファミレスの空気が歪められた気がした。


男性1:メガネ。ポロシャツ。
男性2:メガネ。チェックシャツ。
男性3:メガネ。チェックシャツ。



2014年5月8日木曜日

ファミレスコンセント vol.1

編集&ライター・やましたよしみがファミリーレストランで仕事中に見た
風景や人間ドラマをお届けするファミレスコンセント。

2014年5月8日(木)・晴れ

今日のファミレスはGW明けだというのに非常に混み合っている。
喫煙席まで小さな子ども連れのファミリーや、
サラリーマンたち、お年寄り女子会などで埋め尽くされている。

そこにひときわ目立つ女の子3人組がいる。
ふと会話に耳を傾けると、何やら日本語ではない言語で会話をしているようだ。
おそらく中国語かな。中国人だろうか。

歳のころは20代半ばといったところ。
ファッションはTシャツにデニムというラフな装いで、
ガールズトークの合間にそれぞれがスマホをさわっている。

そこで、急に始まったのが、各々の自撮り!

モデルやタレントなどがブログやツイッターなどに写真をアップするために、
スマホのカメラを自らに向けて撮影する、あの自撮りである。
最近はFacebookなどで素人のそれを見なくもない。

生で見る自撮りはモデルが撮影時に行うポージングそのものであった。

にっこり笑ってみたり、口を尖らせてみたり、ほほを膨らませてみたり、
さまざまな表情をつくりながら、スマホの角度を絶妙に変えていく。
ひとりの女の子は顔に手を近付けると可愛く見える、
という法則までも知っているようであった。

わーお! こんな風に撮るのね、と思わず感心してしまった。

以前、夫にSNSなどで自分の顔写真を撮ってアップする友人について尋ねたところ、
「彼女は海外生活が長いから感覚が外国人のような感じなんだよね」と言っていた。

よくよくSNSを見てみると私と同世代で自撮りをしているのは、
帰国子女や留学経験のある人が多い。なるほど納得!

私個人のことを言わせてもらえば、
プロのモデルを依頼する予算のない媒体にて、
実は幾度となくモデルを務めたことはあるのだが、
自撮りとなると話は別で、まったく恥ずかしくてできない。
んん、その必要性も今のところ感じていない。

とにもかくにも、初めて自撮りの現場に出くわして心が震えたのである。